踊りを通じて、人と人がつながる輪を広げていく。

私たちが大切にしたいのは、テクニックや身体操作の巧さだけではありません。
「踊ることの楽しさ」や「身体を通じた対話」が、人と人をつなぎ、あたたかなコミュニティを生むと信じています。

踊りが生む共感と喜びを真ん中に据え、多様な人々が自然と集まり、学び合い、笑い合える――そんな場をバレエで実現することを目指しています。

古典芸術には、その時代の社会背景や各国の伝統、精神文化が深く織り込まれており、そこにはリベラルアーツとしての価値も宿っています。

「踊ることで文化を学ぶ」。バレエは、単なる身体訓練ではなく、教養としての広がりを持つ芸術です。
私たちは、この知的側面にも光を当てながら、バレエをもっと立体的に、そして多くの人にひらかれたものとして届けていきます。

私たちは、国の文化政策の一環として設立された「新国立劇場バレエ団」という特別な場所で、貴重な経験を積んできました。そこでは、欧米の一流バレエ作品に触れる機会が日常的に与えられ、世界的なダンサーや振付家、そして日本のトップレベルの指導者たちから直接学ぶことができました。

こうした環境は、私たち自身の努力だけで得られたものではなく、多くの人々の支援――すなわち、税を財源とした助成金という形で社会から託された期待のうえに成り立っていたものです。

だからこそ、その貴重な経験を自分たちだけのものとして閉じるのではなく、バレエに関わる人やこれから出会う人たちに開き、広く社会に還元していくことこそが、国立劇場という公共性の高い機関に所属していた者に課せられた、大きな意味と責任であると私たちは考えています。

この活動を通じて、芸術は一部の人の特権ではなく、誰もが触れ、楽しみ、学び合えるものだという価値観を広げていきたいと願っています。